読み物

女性に身近な漢方のお話

「第1回 漢方薬・漢方専門薬局について」

半年にわたって月に一回「漢方薬」を取り上げます。お伺いしたのはJR津田沼駅北口 徒歩2分 漢方専門の薬局 久能平安堂さんです。店内に入ると漢方薬の独特な匂いが…。

こんにちは。漢方薬局は初めてなので色々教えてください。
いらっしゃいませ。
「漢方薬」というと、ドクダミなど薬草を煎じるものだと思っていたら、友人が病院から漢方薬だと渡されたのが分包された顆粒だったのですが?
ドクダミは民間薬で、お茶代わりに気長に飲めますが、漢方薬はおよそ二千年前の中国で完成し、明確な理論の基に組み立てられた薬です。数種類の生薬から一つの処方が構成され、同じ病気でも一人一人の症状に応じて用いる薬が異なる場合があります。お友達のは製薬会社で製造しているエキス製剤です。エキス製剤は漢方薬を飲みやすい形にしたものですが、効果は煎じ薬に及びません。他にも漢方と銘打った健康食品や中には高価で怪しげな漢方薬もどきもありますから注意が必要です。
こちらは七十年余の歴史のある漢方薬の専門薬局ということですが、漢方薬をのんでみたい、あるいは相談したいという場合はどうすれば良いでしょう?
直接ご来店下さるか、ご本人の状態をよくご存知の方にお越しいただければ症状を色々とお尋ねし、合った薬を調合致します。
気になるのはお値段なのですが、保険は効くのですか?
残念ながら保険の取り扱いはありません。常時百五十種類以上の生薬の維持管理には大変な手間暇と、コストがかかります。保険の価格ではどうしても無理なのが現状です。煎じ薬でも一日分(一日三回)で税込み500~600円くらいで済みます。
漢方薬局を選ぶ上での注意点を教えて下さい。
原料である生薬の良し悪しを見分けられ、お一人お一人によく合った処方を適格に選定でき、良心的で、豊富な経験のある専門薬局がよいのです。一度に何ヶ月分も持たせるところや異常に高い値段の店には気を付けてください。
次回からは特に女性を悩ます症状に良い漢方薬の話をお聞きする予定です。

「第2回 冷え症と漢方薬」

女性には「冷え症」の人が多いです。私の周りも手足が冷えて蒲団に入ってもなかなか寝付けなかったりする人がいます。副作用の心配がない漢方薬はありますか?--
ひと口に「冷え症」といっても貧血、血液循環の不良、新陳代謝・自律神経機能の低下、低血圧などいろいろ原因があるようです。漢方では各個人の状態、例えば疲れ易さ、食欲の有無、生理不順や生理痛はあるか、よく眠れるかなど、その他の様々な訴えも参考にしながら判断し、その人に合った薬を決めていきます。したがって、副作用はまず心配ないといってもよいでしょう。
ぜひ一度ご相談下さい。
漢方薬は一部分だけではなく、身体全体を良くするとききましたが、「冷え症」の場合は?
漢方では一つの症状を絶えず身体全体との関連で考えていくので、冷えの他にめまい、頭痛、下痢しやすい、風邪にかかりやすい、疲れ易い、肩がこるなどの症状があれば同時に良くなっていくのです。また、「冷え症」は、膀胱炎や痔、神経痛、リウマチ、不眠、生理痛、不妊、花粉症、気管支喘息などを招きますが、漢方薬で冷えが改善されることによりこれらの病気の予防にもなります。
ありがとうございました。次回は「生理痛」についてお聞きする予定です。

「第3回 生理痛と漢方薬」

前回は冷え症に漢方薬が良いこと、漢方薬の特徴は身体全体の調子が良くなるということをお伺いしました。今回のテーマは生理痛です。

生理のたびに鎮痛剤が手放せない女性は大変多いと思いますが、漢方薬でこの痛みは何とかなりますか?
漢方薬は痛みを起こす元の部分を良くすることで、身体の中から痛みを起こさないようにしていきます。服用を続けることにより段々と軽くなり、やがて起こらなくなるのです。
痛みを一時的に押え込むだけではなく、根本治療ということですね?
漢方では二千年以上も前から生理痛を「お血(おけつ)」という独特の概念で考えており、これを治すためのたくさんの処方を各個人の体質、症状から判断して選択します。漢方薬の得意な分野と言えますよ。
「お血(おけつ)」とは何ですか
老廃物や身体に不要なものを含んでいる血液を言い、これが滞ることにより不快な症状が生じます。具体的には生理痛を含んた月経異常、不正出血、下腹部痛、腰痛、痔、おりもの、子宮筋腫、目の下のくま、さめ肌、冷えやのぼせ、不妊、産前産後の諸症状などが挙げられます。
私は生理の一週間位前になるとイライラや、逆に憂うつな気分になったり、時には頭痛や吹き出物、むくみが出たりして困ります。
月経前緊張症のようですね。楽になりますから漢方薬を体験してみてはいかがですか?
いくつかの問診の後、私が処方していただいたのは「加味逍遙散(かみしょうようさん)」。自然の生薬なので安心して飲めるのがいいですね。次回は「お肌のトラブル」の予定です。

「第4回 お肌のトラブルと漢方薬」

前回は生理痛に悩む女性を救う漢方薬のお話でした。私も薦められた煎じ薬を飲み始めましたところ…。

お加減はいかがですか?
思っていたより煎じることにもすぐ慣れて、独特の香りを楽しみながら飲んでいます。漢方薬を飲んでいる安心感からでしょうか、具合も良いみたいなんです。
あなたに合っている処方だからお続けになるとどんどん良くなりますよ。
さて、今回は女性にとって美容上も気になるお肌のトラブルについてお話しましょう。
塗り薬をつけても繰り返し出来る顔や背中のニキビ、赤く化膿した吹き出物、やつれて見える目の下のくま、いくつになってもキレイでいたいのに出来てしまうシミなどどれも本当に悩ましいです。
外からいくらやっても限界があります。漢方ではお肌のトラブルは体の中の不調が表に出たものと考えており、無理なく綺麗にするためには身体全体を整える漢方薬が最適です。処方を選ぶには、生理や貧血、冷えやのぼせ、胃腸の具合や便秘の有無、血圧、睡眠などの状態から総合的に判断します。
やはり煎じ薬が良いのですか?
状態によっては「紫雲膏(しうんこう)」という漢方の塗り薬や丸薬だけで様子を見ることもあります。是非ご相談下さい。
お肌のトラブルや湿疹、アトピーなどの皮膚症状で漢方薬を飲まれているお客さんは、お肌の状態が良くなるにつれて表情が明るくなって来られるので平安堂さんも楽しみだそうです。次回は「妊娠から産後までの漢方薬」の予定です。

「第5回 妊娠から産後までの漢方薬」

今回は女性の身体にとって一大イベントの「妊娠・出産」に関してお聞きしました。

妊娠の前に「不妊」という場合もありますが、良い漢方薬はありますか?
産婦人科の諸検査で特に問題がない場合でも、漢方の立場で見ると問題がある場合があります。現代病とも言える冷え症や、偏食、ダイエットによる体力低下、過度なストレスによる精神状態への悪影響などいずれも結果的に卵巣の働きを悪くします。妊娠に耐え得る準備が母体に出来ていないとも言えますね。これらの状態を総合的に検討し、各個人に合った漢方薬で整えていくことにより妊娠につながります。ホルモン療法や人工授精、体外受精の前に是非ご相談戴きたいと思います。
めでたく妊娠した後は、どんなところが漢方薬の出番でしょう?
漢方では妊娠から出産まで通してお薬をのむことにより、安産でしかも母子ともに健康に過ごせる「安胎(あんたい)」という考え方があり、安胎薬といわれる処方があります。また妊娠中のつわり、むくみ、高血圧、便秘、精神の不安定状態などや、出産後は体力回復、マタニティーブルー、母乳の出が悪い、痔、新生児の胎毒、夜泣き、湿疹などの症状に対してキメ細かに対応する処方があるのも特長です。
ところで妊娠中に薬をのむことは大丈夫ですか?
すべてが自然の生薬から成る漢方薬の場合は、すでに二千年もの歴史の中で試されており、安全なものだけが残っている状況です。専門家に相談し、的確な処方をのんでいればまず心配はありません。
次回はいよいよ最終回。「更年期障害」の予定です。

「第6回 更年期障害と漢方薬」

半年にわたってお届けした「女性に身近な漢方薬のおはなし」も最終回。更年期障害についてお伺いしました。

更年期障害は、昔から「血の道症」と言われていた女性に特有の病気です。個人差はありますが、閉経の前後に出現する様々な症状を言います。最近では、子供の問題や複雑な人間関係、不況による将来への不安など、ストレスの多い状況がこの時期に重なりますと、更に悪くなり、つらいと訴える方が増えているようです。
具体的にはどのような症状が?
ホルモンのバランスが変わることにより自律神経系も影響を受けて、のぼせ、ほてり、発汗、冷え、イライラ、不安、抑うつ、不眠、頭痛、肩こり、腰痛、手足のしびれ、動悸、めまい、耳鳴りなど、言うに言われない色々な不快な症状が入り混ざって出てきます。また閉経後は、おりものが増える、頻尿になるなどもみられます。
そうなると身体全体のバランスを整えていく漢方薬が良さそうですね。
だいぶ詳しくなりましたね(笑)。漢方では処方を決める際の病状の捉え方に「気・血・水(き・けつ・すい)」という独特の概念があります。これは現在の生体の維持調節を行っている、ホルモン分泌系、神経系、免疫系に当てはまると考えられるのです。したがって、更年期障害の症状のように、それぞれが影響し合ってアンバランスを生じているような場合には、全身的な観点からよく判断し、その人の処方を決めることが必要になってきます。数種類の生薬から構成されている漢方薬は、作用がマイルドで、身体のゆがみを中から調節するよう働き、いつのまにか自然に良くしていきます。
ありがとうございました。まとめとして最後に一言お願いします。
二千年以上にわたる人体実験を経て今日まで受け継がれている漢方薬というものは、安全性も有効性も本当に素晴らしいものです。どことも言えず調子の悪い方も、慢性病に苦しんでおられる方も、一日も早く七十年の伝統ある漢方薬専門の久能平安堂までお気軽にご相談下さい。本物の漢方薬の良さを味わっていただきたいと思います。

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