漢方について

その他

かかりつけの医者から「漢方薬なぞ無駄だからやめたほうがよい」といわれ困っています…

こういう発言をする医師は少なからずおります。「漢方薬は、あなたの病気に対しては効果がありません。」という意味だとすれば、果たしてその医師は漢方を勉強された方なのでしょうか?もし、勉強したことがないのなら、漢方薬を否定する前に「私には漢方はわかりません。」と言うべきではないでしょうか?あるいは、「自分があなたの主治医なのだから、勝手なことはしないで任せなさい」ということでしょうか?真意がわかりません。何にしても、困っている患者さんを目の前にして、一日も早く良くなって欲しいと願い、努力をされている謙虚な医師であるならば、患者さんが困るような発言はしないだろうと思いますが…。

現在、わが国の医師の教育過程には漢方治療を学ぶ正式なカリキュラムはありません。漢方医学を知らなくても医師になれるのです。また、西洋医学の教育を受けている医師は、とかく東洋医学、漢方医学を含めた伝統医学を「非科学的だ、おまじないだ」と見下げる傾向があります。そんな中にあっても「理屈はどうあれ、確かに効果があって、患者さんに喜んでもらえる。」と自ら漢方を研究され、治療に取り入れる素晴らしい医師がおられます。
漢方のことはどうぞ専門店でお問い合わせ下さい。

漢方薬は科学的でないと聞きましたがどういうことですか?

一つの真実があり、その時代における最先端の科学を用いてその真実を説明できることを「科学的」というならば、漢方薬に限らず、現代医学でも科学的でないものはたくさんあります。漢方薬はその効果が今の科学で解明されていないため、そのように言われているのでしょう。

漢方薬の処方は通常数種類の生薬から構成されていますが、その一つの生薬をとってみても大半が主要成分、微量成分の種類が多過ぎて特定できていません。その薬理作用も多岐にわたり、相反する作用が同時に存在するものまであります。そのような生薬が組み合わされ、水から煎じて抽出された薬液の中には、その過程における成分同士の化学反応もあって、いったいどんな成分で出来あがっているのか?さらにそれが人体内でどのように形を変え、どこに作用しているのか?漢方薬のような複雑極まりない多成分系の解明は現在の科学レベルではまだ出来ないのです。

いつの日かやがて、科学が進歩すれば、そのメカニズムが判明することでしょう。今現在、漢方薬は ある意味で未科学の分野に属するといえます。しかし、科学的に解明されていなくても、真実は変わらず現存し、生きつづけています。二千年以上にわたる人体実験の集積と独自の理論のもとに完成され、運用されており、現代医学では解決できないたくさんの病人に喜びと希望を与えているのも事実です。
医学は西洋医学(現代医学)の他に東洋医学もあるということを知っていただきたいと願っています。

(泌尿器科の医師より問い合わせ)八味地黄丸(はちみじおうがん)という漢方処方は、前立腺肥大に良いようですが、白内障や糖尿病、高血圧、腰痛、動脈硬化、インポテンスにも使うらしいですね。いったいどんな薬なのですか?理解できないのですが…

西洋医学の薬物療法では、前立腺肥大症にはα1-ブロッカーや抗男性ホルモン薬。糖尿病にはインスリン製剤、SU剤、α-グルコシダーゼ阻害薬、インスリン抵抗性改善薬など。高血圧症であれば、各種降圧剤、腰痛であればNSAID…のように各疾患に対して個々に適する薬理作用を持った全く別な薬を使用します。これと同じ感覚で漢方薬を考えてしまうと、八味地黄丸にはそんなにも多彩な薬理作用が確認されているのか?そんな魔法みたいな薬があるはずはない、と拒絶反応を起こされるようです。

しかし、これを漢方で考えると、八味地黄丸は「腎の虚証(じんのきょしょう)」に「燥証(そうしょう)」、「水毒(すいどく)」、「気の上衝(きのじょうしょう)」、「血証(けっしょう)」を併せ持った病態に使う処方なのです。西洋医学的にどんな病名が付けられようと関係ないのです。結局、八味地黄丸の証(しょう)は、夜間頻尿、多尿、頻尿、尿利減少などの排尿異常、下半身の冷えまたは足底の煩熱、腰下肢の疲労脱力・しびれ・疼痛、臍下不仁(下半身の知覚神経麻痺)、少腹拘急(下腹部腹直筋の緊張)、口渇または口乾、下肢の浮腫、精力減退や白内障、眼精疲労、目のかすみなどの視力障害、慢性呼吸器症状や難聴、耳鳴りなどの聴力障害、などの症状を呈することになり、これに病名を付けるとご質問のようになるということです。

つまり、西洋医学的に当てはめようとしても無理がある思うのです。漢方薬を使うには、やはり漢方の概念で病人を診なければ、正しい理解と的確な処方運用は難しいのではないでしょうか?

以前に本場中国・上海でのんだ時とずいぶん分量が違うようなのですが、なぜ?

日本で用いられている漢方薬の1日分量は、中国で用いられている分量のおよそ十分の一くらいです。なぜ少ないのかはっきりとしたことは判らないのですが、「中国の水と日本の水は『硬度』が異なるため、日本の水のほうが抽出し易いことから、少量の生薬で十分であった」という説や、「中国は漢方薬の原料となる生薬が豊富にあるので、十二分に使えた」、または「昔からの習慣であり、故意に変わったことをしているわけではない」、「薬の量が多いと日本人にはのみにくかった」、など色々な推測がなされてきました。

何にしても、貴重な天然資源を有効に無駄なく使い、少量で効果が得られればそれに越したことはないと思いませんか?いわば、日本で用いられている漢方薬の分量は、先達が原典を参考にしながら決めた、日本人に適した分量とお考えになって良いと思います。素人判断で、中国の薬の方がよく効くに違いないと、個人輸入やお土産に頼んだりすると、思わぬ副作用の危険性もありますよ。【諸外国では日本で使われている生薬、すなはち「日本薬局方」により規格や品質の取り決めがある生薬以外のものが流通していますし、同じ名称でも実際は別の生薬や、同じ植物でも使用する部位が違うことにより、全く別の作用を持つものが知られています。】

漢方薬って子供に飲ませても大丈夫なの?

大人に比べて抵抗力の劣っているお子さんにとって、副作用が少なく、元々備わっている自分の「治す力」を高め、穏やかに作用する漢方薬は最適だと思います。

食が細く、生まれた時から虚弱で、風邪をひきやすく、のどが痛い、耳が痛い、お腹が痛いなどを繰り返しているお子さん、特異体質のため、化学薬品を服用できないお子さんや、アレルギーや慢性の病気で長期間にわたり薬を服用しなければならないお子さん(大人の場合もありますが)、なかなかおねしょの治らないお子さん、癇が高ぶり夜通しぐずって母親を困らせている夜泣きの赤ちゃん…。その他、色んな場合がありますが、いずれも漢方薬であれば安心して服用でき、しかもよく効きます。是非ご相談下さい。

「慢性膵炎」で漢方薬(柴胡桂枝湯・さいこけいしとう)をもらいましたが、『効能・効果』の記載を見たら当てはまる病名がありませんけど?

よくあるケースです。多くの漢方薬は、約1千年から2千年前に既に完成されていたものであり、私達はその時代の処方を、その時代の考え方に従って運用しているに過ぎません。当然、昔は現代医学のような病名はなく、病名に対して処方を選ぶこともしていませんでしたから。【漢方エキス製剤が保険適用になって以来、製薬会社と正しい漢方の使い方を習得していない医師によって、いわゆる病名投与が広まるようになりました】

現在、日本で製造販売されるすべての医薬品は、「薬事法」に則って厚生省(現・厚生労働省)の許認可制度で管理されています。『効能・効果』は医療用であれば保険の適応であるかないか、一般用であれば自分に当てはまるかどうかを知るためにも必要です。漢方薬の場合は、現代医学的に当てはめられた病名や、古典の記載から読み替えられた症状名が『効能・効果』として後から決められました。しかし、もともとの概念が違うことから正確に表現することは不可能でした。抜けているものもありますし、現代医学から見ればナンセンスな表現もあります。

極端な言い方をすれば、漢方薬を正しい知識のもとに運用すれば病名は要らないのです。例えば、患者さんの訴えだけを病名に当てはめると、膵炎の場合には、胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胆のう炎、胆石、肝炎、腎炎、尿路結石、虫垂炎、イレウス、肋間神経痛、その他などが考えられます。しかし、どれであっても漢方独特の理論で柴胡桂枝湯の適する患者さんの場合は一つの同じ処方で対処できて、効果があるのです。【これは現代医学からすれば有り得ないことでしょう】しかもその柴胡桂枝湯という処方自体に、これらと全く異なる病名・症状、例えば感冒、流感、肺炎、肺結核、肋膜炎、頭痛、関節痛、ノイローゼ、不眠、不安神経症、更年期障害、てんかん、寝汗、皮膚掻痒症…などなどに使うことがあるのですが、これら全部を『効能・効果』に挙げるのは現実的ではなかったようです。

したがって、漢方薬の場合、『効能・効果』の記載は本来の処方の使い方と一致しないこともよくありますが、専門家が漢方理論にもとづいて処方選択にあたっている場合には何の心配もありません。

久能平安堂さんではどんな病気で相談される方が多いですか?

私どもにご相談の多い「病気」は、花粉症(鼻炎)、気管支喘息(小児気管支喘息を含む)、アトピー性皮膚炎、じんましん、慢性副鼻腔炎(ちくのう)、月経異常(生理痛、生理不順)、冷え症、不妊症、自律神経失調症、更年期障害、慢性胃炎、痔、ニキビ、関節痛・神経痛・リウマチ などです。

「症状」で挙げれば、疲れやすい、頭痛、肩こり、めまい、耳鳴り、のぼせ、動悸、のどのつかえ、食欲がない、胃が重い、胸やけ、げっぷ、腹部膨満感、便秘、下痢、しつこい咳、腰が痛い、ひざが痛い、手・足がほてる、しびれ、排尿時の不快感・残尿感、夜間頻尿などとなりました。

どちらも平成12年12月末までのまとめによるものです。漢方薬をのんだ結果はどうかというと、追いきれない方もいらっしゃるので正確にはお知らせできないのですが、私どもの方で、お客様のお顔とお名前が一致するくらいまで続けられている多くの方は、皆さん調子がよいとおっしゃいます。【よい薬だから当然なのですが…】

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