漢方について

煎じ薬・のみ方について

「煎じ薬」と「漢方エキス製剤」との違い

昨今は「煎じ薬」と聞いてもピンとこない人の方が多くなっているようです。
私のように薬学を専門に学んできても、ほとんど触れる機会がありません。

「煎じ薬」とは、生薬に含まれる様々な有効成分を水で加熱しながら抽出した内服用の水剤(のみ薬)のことです。日本薬局方では煎剤あるいは湯剤と規定しています。具体的には、なべや薬缶などで1日分ごとに分包してある漢方薬を水から火にかけ、煮詰めたのちに煎じかすを取り去った煎じ液を1日に3回に分けて空腹時に飲むことになります。二千年の歴史を持つ漢方薬はもともとほとんどがこの「煎じ薬」なのです。主に専門薬局、漢方専門医が扱います。

一方、「漢方エキス製剤」は最近の調査では9割近くの医師が保険で処方しますから、病院やクリニックでもらえます。【医療用漢方製剤といいます】 他に、保険は利きませんが街中の薬局、薬店、大型チェーン店のドラッグストアでも売られています。【一般用漢方製剤といいます。こちらは成分含量つまり濃度が薄めになっています。】これらの「漢方エキス製剤」は既製品とでも言えましょう。価格は「煎じ薬」より安く設定されています。今や、現代漢方の主流となっています。

価格の点、煎じる手間ヒマの点、味・においの点、煎じ薬の持ち運びの点など現代人のライフスタイルには「漢方エキス製剤」の方が適していると思われるかもしれません。
「煎じ薬」との違いは何か? なぜ、専門店では便利で安価な「漢方エキス製剤」ではなく、「煎じ薬」を扱うのか?

実は、強調しておきますが、「煎じ薬」と「漢方エキス製剤」とは同じではないのです。同じものであるのなら、便利で安価なものの方が良いに決まっています!
そして、最大の違いは一言で言うと「効果」ということになります。
今まで保険エキス製剤をのまれていたお客さん、効果がハッキリしないと意を決して私どもにご相談に来られました。結果、同じ処方で良いはずだと判断。煎じ薬で差し上げたら、全然効き目が違うことをすぐに実感されたとはよくある話です。
そもそも、煎じ薬を主体に漢方薬を扱っている我々専門家は、エキス製剤は煎じ薬の代用品であると考えている人が多いのです。煎じ薬の場合、刻んだ生薬自体を調合しお客様にお渡しするので、その品質は誤魔化しようがありませんし、不勉強では扱えません。それだけ自信とこだわりを持ってお渡しするわけです。また、種類に限りのある既製品と違い、お一人お一人の状態に合わせた処方の選択や匙加減が可能です。
製品となっているエキス製剤は、高温高圧下で製造する途中に失われる薬効成分、揮発成分、アロマテラピー様の効果を有する煎じ薬のにおい、苦味、甘味、酸味などそれ自体に薬効がある薬味はほぼ消失します。さらに製剤化するために加える余計な添加物など、もともとの煎じ薬に近いものなら良しとされる程度の製剤です。同じ効果は期待できません。実際、お湯に溶かしても元の煎じ薬と味も香りも同じものには決してなりません。

この違いはよくドリップコーヒーとインスタントコーヒーに例えられます。高級コーヒー豆で知られているブルーマウンテン。お湯を注ぐだけのインスタントで同じ出来上がりのブルマンコーヒーと言えますか?
さらに、「漢方エキス製剤」の欠点として挙げなければならないのは、漢方薬を選んでくれるのが必ずしも漢方の知識に明るい医師・薬剤師とは限らない事が挙げられます。漢方を選ぶには陰陽虚実寒熱気血水といった独特の専門知識が必要です。漢方の診方、「証」に従って漢方処方を運用しないと効果が得られないばかりか、いわゆる副作用を引き起こしかねません。【かつて実際に証を無視した病名投与と言われる漢方薬の処方で事故がありました】漢方専門医以外の医師は、漢方薬の本来の使い方を修得して処方しているわけではないのが現状です。

まとめますと、「煎じ薬」を調合して出すところには、漢方に詳しい専門家がおり、証の「診立て」も確かであると考えて信頼して良いと思います。

煎じ薬とは何ですか?

昨今は煎じ薬と聞いてもピンとこない人の方が多くなっているようです。また、私のように薬学を専門に学んできても、ほとんど触れる機会がありませんから薬科大学の友人でさえ「煎じ薬って何?」と言う始末で、お年を召した方のほうが詳しい位なのです。

煎じ薬とは生薬に含まれる様々な有効成分を水で加熱しながら抽出した内服用の水剤(のみ薬)のことです。具体的には、おなべややかんなどで1日分ごとに分包してある漢方薬を水から火にかけ、煮詰めたのちに煎じかすを取り去った煎じ液を1日に3回に分けて空腹時に飲むことになります。二千年の歴史を持つ漢方薬はほとんどがこの煎じ薬なのです。

実際に煎じてみると、馴れるまで人によって煎じ具合に差が出てしまい、煎じ方のせいで効果が思わしくないということもありますが、私ども久能平安堂では懇切丁寧に説明致しますので初めての方でも安心です。

また注意することとして、使う生薬の品質により効果に差が出ることがあげられます。元来生薬は天然の物ですからその産地や天候により品質に差が出ることはあります。現在はバラツキがなるべく少なくなるよう色々な工夫がされてきておりますが、重要なことはピンからキリまである生薬を鑑る眼です。確かな見分けが出来、より良い品を選んで、虫カビなどの発生し易い生薬を厳格に管理して作られたものと不出来なもの、安かろう悪かろうの品で作られた漢方薬の効果の差は歴然としています。煎じ薬なら皆同じだろうと考えるのは大間違いといえます。この点伝統があり、評判の良い専門店なら安心です。

現在では製薬会社が「漢方エキス製剤」といって煎じ薬を煮詰めてそのエキスを取り出し、顆粒や細粒としたもの、カプセルに充填したもの、錠剤にしたものなどを製造しています。ご自分でお薬を煎じる手間ヒマがかからず便利でお手軽ではありますが…。【この「漢方エキス製剤」と「煎じ薬」との違いについてはこちらをクリックして下さい。】

病院でもらっていたツムラの19番と同じものありますか?

「病院でもらっていたツムラの19番」は正式には『 TJ-19 ツムラ小青竜湯エキス顆粒(医療用)』という商品名で、漢方製剤メーカー最大手の株式会社ツムラで製造・販売している医療用の漢方エキス製剤です。【最近の包装には番号の他に処方名が印刷してあるようになりました】私どものような漢方薬専門店でお出しする小青竜湯(しょうせいりゅうとう)という処方はエキス製剤ではなく、本来の形である煎じ薬ですので、その意味では同じものはありません。コーヒー専門店でインスタントコーヒーありますかと聞くのと同じことと考えていただけばお判りになりますか?

医療用の漢方エキス製剤という顆粒剤や細粒剤などの製品は、保険が適用され、医師の処方箋により服用することができます。また、ご自分で薬局・ドラッグストアで購入できる製品は一般用といって、同じ処方でも医療用と比べるとエキスの濃度や分量、原料生薬の品質、効果などに差があります。【製造会社間でも違いがありますが…】種類も顆粒剤や細粒剤の他に錠剤、ドリンク剤、煎じ薬などがあります。【この「漢方エキス製剤」と「煎じ薬」との違いについてはこちらをクリックして下さい。】

煎じ薬より顆粒のほうがのみ易いと思うのですが何が違うのですか?

このご質問には「煎じ薬」「漢方エキス製剤」との違いについてという事でお話ししましょう。

既に触れたように漢方薬は元来ほとんどの処方が「煎じ薬」です。現在では製薬会社が「漢方エキス製剤」といって煎じ薬を煮詰めてそのエキスを取り出し、顆粒や細粒としたもの、カプセルに充填したもの、錠剤にしたもの、ドリンクにしたものなどを製造しています。

一方、保険が利く「漢方エキス製剤」は最近の調査では8割近くの医師が処方しますから、病院やクリニックでももらえます。【医療用漢方製剤といいます。】他に保険は利きませんが街中の薬局、大型チェーン店のドラッグストアでも売られています。【一般用漢方製剤といいます。】これらの漢方エキス製剤は既製品とでも言えましょう。価格は煎じ薬より安く設定されています。しかし、欠点として漢方薬を選んでくれるのが必ずしも漢方の知識に明るい医師・薬剤師とは限らない事が挙げられます。【むしろ正しい知識のない医師・薬剤師の方が多いのが真実なのです。エキス剤によって漢方薬が広まったことの功罪といえます。】言い方を変えると「煎じ薬」を調合して出すところには熱心に取り組み、漢方に詳しい専門家がいると考えて良いと思います。

価格の点、煎じる手間ヒマの点、味・においの点、煎じ薬の持ち運びの点など確かに現代人のライフスタイルには「漢方エキス製剤」の方が適していると思われるかもしれません。「煎じ薬」との差は何か?一言で言うと「効果」ということになります。そもそも煎じ薬を主体に漢方薬を扱っている我々専門家は、煎じ薬とエキス製剤が同じ漢方だとは考えていない人が多いのです。煎じ薬の場合、刻んだ生薬自体を調合しお客様にお渡しするので、その品質は誤魔化しようがありませんし、不勉強では扱えません。それだけ自信を持ってお渡しするわけです。また種類に限りのある既製品と違い、お一人お一人の状態に合わせた処方の選択や匙加減が可能です。製品となっているエキス製剤は加工・製剤化する過程で失われる薬効成分や消失する揮発成分、アロマテラピー用の効果を有する煎じ薬のにおいなど 元々の煎じ薬と別物になってしまっているのではないでしょうか? 余りにも効き目に差があります。もちろん「漢方エキス製剤」も、もともとの漢方処方自体は優秀なので選択が間違えていなければそれなりに利きます。それで済む人はそれで良いとも言えますが…。
まとめますと、信頼できる専門家に相談の上、自分だけに合った漢方薬で早く治したい方は、迷わず私ども久能平安堂で煎じ薬をお求め下さい。

煎じ薬の味、においは何とかなりませんか?

無味無臭が好まれる現代では煎じ薬のにおい・味は邪魔ものと思われるかもしれません。しかし、この味・においは漢方薬が効果を発揮するのに欠かせないものといわれています。においについては、欧州では古い歴史のある芳香療法(アロマテラピー)が近年見なおされつつありますが、同じように煎じ薬の独特の香りも煎じている時から身体に働きかけ、何らかの作用をしていると考えられます。味も口に含んだ瞬間から知覚神経を刺激し、身体自身が乱れているバランスを修正するかのように動き出します。この味・香りの効果が得られない漢方エキス製剤についても、最近では顆粒・細粒を白湯に溶かしてから服用するよう指導する医師、薬剤師が増えてきました。

例えば、万病の元といわれるカゼの場合、かかったかなと思った時に適した漢方薬を煎じてのむと数分後から効き目が現れます。これは現代医薬学ではありえないことです。化学薬品ののみ薬は消化・吸収され血流にのってはじめて作用をはじめるからです。【漢方薬は効き目が遅いとはトンだ勘違いです】

まずくてのめない、においで気持ち悪くなるという場合はその処方がその時のあなたに合っていないことも有り得ます。そのような時は処方変更を考えなければならない場合もあるのでご相談下さい。普段健丈な人が「こりゃのめん」という味の処方でも、体調を崩しその処方に合っている状態時には美味しくすら感じるものです。においは実際問題として、煎じ薬をのむ当人には心地よいものでも、ご家族が苦情を言うケースがありますが、ご理解戴きたいものですね。

いずれにしても人間が作り出した化合物ではなく、自然のものですから、上手く出来たもので「慣れ」てきます。あまり心配しないで下さい。むしろ本物の煎じ薬でなくては味わえない香りと味をご堪能戴きたいと思います。

漢方薬は食前の服用と言うことですが、つい忘れてしまったり、お腹が張ってしまって食事が取りにくくなります。食前でなければいけませんか?

医師から処方されるお薬(化学薬品)は一般に、胃からの排出速度や胃酸のpHなどの兼ね合いで効き目が変わってきますし、作用が鋭いための胃腸障害を防ぐ目的もあって「食後」にのむものが多いのです。抗生物質や抗ウイルス剤などは血中濃度を常に必要なレベルに保っておかないと効果が無いため、「4時間ごとに服用」などと、飲む時間まで正確にしなければならないものもあります。

漢方薬はその点、余り厳格ではありません。作用が穏やかなため、お腹が空いているときのほうが効き目が良いといわれたり、一方で「食前」でも「食後」でも効果については変わらないという報告もあります。

地黄(ジオウ)というゴマノハグサ科の植物の根を使用する処方では、ごくまれに胃にもたれるという方がいらっしゃいます。このような場合には食前にとらわれず、食後にのんでいただいたほうが良いですし、胃弱で一度に決められた量がのめないような方は1日に4~5回に分けてのんでも結構です。

つまり、余り神経質になる必要はなく、何らかの事情で「食前」にのめない場合には、「食後」になっても構いません。もちろん「食間(食後2時間が目安)」でも結構です。

煎じ薬は1日3回飲むということですが、仕事をしているため昼間は家にいません。お昼に飲む分はどうしたら良いのですか?

煎じ薬は1日分を一度に作ります。1日3回 毎回ごとに作るわけではありませんので1回分は取り分けて持参するのが一番望ましいのです。持参する容器としてはドリンク剤などの空き瓶、小さ目のペットボトルなど手近にあるものをご使用下さい。1回にのむ量の目安は80~120ml位になるでしょう。

参考までに一つの方法として、毎朝忙しい時間に煎じるのが大変なので、翌日分を前の日の晩に煎じて持ち運びのしやすいステンレスボトルに入れておき【最近は小さくてオシャレな軽いタイプも市販されていますね】、そのまま持って出かけるという方がいらっしゃいます。徹底していらして素晴らしいと思います。

処方によっては1日に2回に分けて飲むことでよい事もありますし、帰宅時間によっては持っていかなくてもよい場合もあります。個々に違いがありますのでご相談下さい。

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