久能平安堂では健康保険の取り扱いはしておりません。保険の対象となっているものよりも良いものを提供しているからです。同じものであれば保険がきいて価格が安いほうが良いに決まっています。
ここ数年来、医者向けの漢方エキス製剤の製薬会社が自社製品を売るため、販売戦略で「漢方も保険がききます。お医者さんにかかってください。」と宣伝キャンペーンを行っていることから、マスコミも含め思い違いをしておられる方が増えてきました。あれはあくまでもエキス製剤の話です。エキス製剤であれば、現時点で約150処方くらいは保険適用されていますから、医師が処方箋を発行すれば「保険がきく」ということになります【病院内の薬局や街中の「保険調剤薬局」でのことです】。しかし、困ったことに大多数の医師は漢方について素人で、専門知識を持たずに製薬会社が勧めるままに漢方エキス製剤を処方しているのが現実です。どんなものにでも言えることですが、「安い」にはそれなりの理由があるものです。
私どものような漢方専門の相談薬局が製造販売する本物の漢方薬(煎じ薬)は、エキス製剤ではないのです。
それでは、本物の漢方薬(煎じ薬)は保険がきかないということかと言うとそうではありません。煎じ薬も、処方成分として使用する「生薬」自体は保険適用の認められているものが多いのです。仕組みの上ではエキス製剤だけでなく、本物の漢方薬にも保険がきくことにはなっています。しかし、この「生薬」で漢方薬の処方箋を発行できるほど漢方の専門知識を持つ医師はごく稀です【東洋医学会が認定する漢方専門医であればほぼOK。しかし全国で2,000名程度に過ぎない】。また煎じ薬を使いこなす漢方医は、コストに合わないなど諸種の事情から保険を扱わずに自由診療で診察されている場合が多いです(=保険はきかない)。
また、処方箋を受ける「保険調剤薬局」の側も、通常の保険調剤業務以外に常時漢方薬の調剤に対応できる「生薬」の種類・量を管理し、漢方薬・生薬の知識を有する薬剤師を揃えているところは限られています。
そこで、私どものような昔からの漢方専門に特化した「相談薬局」が、お客さまからご相談を受け、専門知識と経験を有した薬剤師が最適な漢方処方をお客様一人一人に合わせて選択し、品質の良い生薬を使って調合するのです。医師の処方箋を要さずに漢方薬を調合できる製造許可を有する薬局は数少なく、全薬局の内2割程度でしかありません。ご近所にある場合は幸運なのです。
久能平安堂の場合、頂戴するのはお薬代のみです。ご相談だけの場合は無料ですし、別に手数料やら技術料やらは一切かかりません。念の為。
煎じ薬の場合、処方を構成している生薬の内容により若干差がありますが、現時点(平成13年)では、1日分で300~600円くらいと見ていただければ良いと思います(税込み)。平均すると1日分550円前後になります。【平成24年時点では、1日分で400~650円くらい。平均で600円前後です。】
ただし、ほとんどの生薬を輸入にたよるわが国では、産地国の突発的な自然災害、国の政策などにより生薬の絶対量や、日常よく使用する、無くてはならない品目にも不足が発生することが有り得ます。そのような時には不本意ながら価格に若干変動が生ずることがあります。【実際、近年、中国の事情により生薬価格が未だかつてない高騰を続けています。】
八味丸(はちみがん)や桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)などの丸薬は煎じ薬に比べて安価です。1日分で200円前後見ていただけば良いでしょう。
あまり扱ってはいないのですが、エキス製剤では、顆粒・細粒が1日分で400円前後です。錠剤は処方により差がありますが、約2週間分の包装で3,500円から4,000円程度。1ヶ月半~3ヶ月分位の包装だと割安になり、10,000円程度となります。
漢方薬は高価なものだと思われているようですが、日本でめったに使われない特殊なものや「高貴薬」といわれる動物由来のものを除くと、お薬としては決して高いものではありません。たとえば、医師が処方する抗生物質は、1日分500円を越えるものもよく使われますし、お薬は、通常数種類は処方されますから、1日分の薬剤費だけでも結構な金額になっています。健康保険を使うからそういう印象はないと思いますが。また、日常の中で比較すると、お昼を外食する場合や、ラーメン一杯分、コーヒー一杯分(場所によりますが)より安いではありませんか。
また、同じ処方でもお店によって値段に差があります。【注意;困ったことに、品質の悪い生薬を使い、値段がやたらに高く、一度に何ヶ月分も持たせるような悪徳業者・薬局が実際にあります。事前に値段を確認するなど充分にお気をつけ戴きたいと思います。】久能平安堂の漢方薬は、品質はハイレベルですが決して高くありません。安心してご相談下さい。